ABOUT MACROBIOTICS


21世紀に入り、私達人類は多くの問題に直面しています。現代文明の方向性を見直し、私たちの日々の生き方に大きな変化を起こす必要性を感じています。私たちが抱えている問題のなかでも、急を要していて、重要な課題が3つあります。
1つめは人類の肉体的、知的、そして精神的な質の低下と健康面の低下です。これらの危機には、世界中で蔓延している慢性病や生活習慣病ー肥満、アレルギー、メタボリックシンドローム、心臓病や脳卒中を含む心血管疾患、癌、糖尿病、精神疾患および生殖機能や免疫機能の低下などがあります。今日、この現代社会では個人が、または家族の中に、ひとつかそれ以上のこれらの退行性疾患の兆候が見られたり、症状を抱えています。
2つめの危機は地球環境の悪化、つまり自然破壊です。特に環境汚染や生物多様性の消失や地球温暖化、極端な気候変動などが、人類やこの地球上の生物に甚大な影響を及ぼしています。
3つめの危機は社会の衰退で、貧困、不平等、飢餓、食糧ロスや食糧廃棄、自然資源の誤用、医療費増大、経済的不安定、不信感や偏見など、テロや紛争、ひいては戦争に発展する可能性のある社会的問題を抱えています。

これらの問題は地球的規模で同時に起きているため、問題の全体像を把握し、それらが私達や次世代にどれだけの影響を及ぼすのか、理解するのは難しい状態です。残念ながらこういった問題を解決するために試みている方法の中には、あまり効果が見られないか、逆にさらなる問題を引き起こしているものもあります。

これらの現代の試練には革新的な方法が求められます。現代のマクロビオティックは、私たちの生き方に変化を起こし、個人的問題や地球規模の問題を永続的な解決に向かう具体的な方法を見出す必要性から生まれました。

現代マクロビオティック運動は、石塚左玄、桜沢如一、他の教師の教えに影響を受けて、日本から始まりました。桜沢は1966年に逝去するまでの間、精力的にマクロビオティックを指導し、没後も彼の生徒や同志が世界中でマクロビオティックを教え続けています。
1950年代後期に古来から「健全な生き方」を意味するマクロビオティックという言葉が教育に使われ始めました。

久司 道夫 久司アベリーヌ偕子世界でマクロビオティックの教育と自然で
包括的で持続可能な生き方を広めた開拓者

久司 道夫 (1926-2014)

久司 道夫は人類をより健全に導き、平和な世界をつくるために生涯をかけて尽力しました。
1926年和歌山県に生まれた久司は、東京大学と同大学院で政治学と国際関係を専攻し、特に世界平和のための世界政府について研究しました。1949年に米国に渡り、コロンビア大学にて研究を続け、在学中にノーマン・カズンズ、アルベルト・アインシュタイン、トーマス・マン、アプトン・シンクレア などの優れた科学者、作家、政治家などを尋ねます。渡米前に久司は桜沢に会い、親交を結び、桜沢が亡くなるまで交友と協力関係は続きました。半世紀以上、久司はマクロビオティックのさらなる発展とその生き方や観点を広めるために教育、著述、他の教育活動や社会活動に従事しました。

長年に渡って久司はマクロビオティックの教育や個人指導、医師や科学者に対する講習、世界各地、国連、WHO(世界保健機関)などの国際機関や議会での講演、政府に対する助言、医学研究へ影響を与え、自然食品産業のコンサルタントなどを通して数え切れないほどの個人や家族を健全に導きました。また50冊以上の著書を著し、1994年には「One Peaceful World」他の著書に対し国連著述家協会より優秀賞を授与されます。ノーベル平和賞にもノミネートされました。2007年、久司は林みどりと結婚し、さらにマクロビオティックの世界的教育を発展します。現在久司 宮渡(みどり)は久司の教育を監修し、マクロビオティックを世界に広めるために専心しています。

久司アベリーヌ偕子(1923-2001)

武士の家系に生まれたアベリーヌ久司は奥出雲で育ち、学校の教師になりました。生死に関わる病気から回復したアベリーヌは教師を辞めて上京し、桜沢の創立したメゾン・イグノラムスに入ります。そこでアベリーヌはより自然で調和の取れた食べ方をすることによって人類が肉体的にも、精神的にも健全になり、永続する平和を実現するという夢にインスパイアされます。
アベリーヌは1951年に米国に渡り、久司と結婚し、共に同じ夢に向かって生涯に渡り教育活動を続けました。アベリーヌは世界各国で何千人もの人々にマクロビオティック料理を教え、本も出版しています。彼女は食物の質を向上する事に多大な情熱を傾け、化学物質を使わないより自然な農法や、伝統的で自然な食品生産や加工法を熱心に勧めました。米国において「自然食品」という言葉を広めたのはアベリーヌで、世界でも「自然食運動、オーガニック運動の母」として知られています。四男一女の母として、アベリーヌは家族や女性の健康に興味を持ち、そのための教育や著作に多くの時間を費やしました。また東洋と西洋をつなぐ架け橋となって能や茶道、着付け、書道、布団作り、俳句などの伝統芸術を欧米に伝え、教えました。

久司 道夫とアベリーヌは桜沢や世界中の食の思想家、健康の改革者、平和運動家などの教えをもとにそれを発展させ、自然食品、オーガニック食品、健全なライフスタイル、ホリスティックな健康やヒーリングのアプローチなど、持続可能な生き方の発展における先駆者でもあります。
二人はマクロビオティックを広めて世界規模で生活の質を向上するために、イーストウエスト財団、イーストウエストジャーナル、久司財団、クシインスティテュート、ワンピースフルワールドソサエティ、エレウォン商社などを設立しています。このインターナショナルなマクロビオティックのアプローチは久司とアベリーヌ、その生徒や同志によって発展され、後に世界中に広まりクシマクロビオティックと呼ばれています。

久司夫妻の功績

渡米してまもなく、久司は現代社会で人々が口にしている食物は根本的に親の世代と違ってきていること、祖父母やさらに前の祖先とも全くかけ離れていることに気付きました。このような食の変化が、かつてないほど人々が健康を損ねたり、現代文明が衰退しつつあることの根本的な原因であると理解したのです。進化とは反対のこの現象を正常に戻すために、久司はマクロビオティックのライフスタイルを紹介し、広めていったのですが、そこには2つの大切な要素に基づいた、食に対する視点が含まれています。

1つめは、人々が簡単に理解し、実践しやすいように、伝統的な考え方と現代栄養学を反映した食のガイドラインを確立することでした。そして2つめは、手に入れやすい価格帯で充分に人々に行き渡るような、未精製で自然な、オーガニックな質の良い本物の食品を再び取り戻していくことでした。

1960年代半ば、久司夫妻はボストンで商事会社エレウォンを設立しました。それは米国での自然食品店の第一号であり、また未精製で自然な品質の、有機的に栽培された食品が簡単に手に入るように取り扱っていました。2002 年に米国政府がオーガニック認証を公式に認定するようになってから、オーガニック食品は食品業界で最も成長が著しい分野になり、今日では自然食品店よりもスーパーマーケットで、オーガニック食品が多く購入されています。健康的で栄養価の高い食品に対する消費者の要求がますます高くなってきていることと、既存の食品流通経路を生かした輸送の増加が、このオーガニック食品市場の成長の大きな牽引力となったのです。オーガニックや自然な食品を求める動きは、世界中でも急速に広まってきています。
有機農業は今や世界中で行われており、2011 年には162 の国々で180 万人もの農家が、世界の農業用地のうちの3,700 万ヘクタール以上で有機的農業を営んでおり、世界での売り上げは630 憶USドルにも上っています。ここ10 年間で、EU(欧州連合)では、有機農地が年間およそ50 万ヘクタールづつ増えており、その総計は世界中の有機農地全体の29%を占めています。ヨーロッパの農地全体の5%以上が今や有機農地となっており、有機農地が10%以上を占める国は7ヶ国にも上ります。レストランやホテル、空港などだけでなく、多くの学校や社員食堂、病院といった公共施設でも、オーガニックな食事を提供するところがますます増えてきています。

久司夫妻は米国在住の間に、食事パターンの文化的な違いだけでなく、味覚や食物の違いを観察する中で、伝統的な日本の食文化や食事のパターンは、健康を維持し、長寿に導くために最適なものであると結論づけました。夫妻は協力し合って、次のような伝統的な日本食を紹介し、興味を持ってくれるように、その料理法を教え始めました。それらは玄米、もち、麺類、麩やセイタンなどの穀物・穀物製品、大根やごぼう、蓮根などの野菜、小豆、豆腐、高野豆腐や豆乳などの豆・大豆製品、海藻、味噌や醤油、玄米酢、梅干しなどの発酵食品、番茶や茎茶、麦茶などの飲み物、さらに甘酒や米飴などの甘味料などです。欧米ではこのような食品はほとんど知られておらず、最初のうちは、エレウォンなどの自然食品店でしか見つけることができなかったので、通販なども利用して、主にマクロビオティックに興味のある人たちに届けられていました。
また夫妻は、ヘルシーな食事のバラエティを増やし、現代社会での食習慣の改善を図るため、すり鉢やたわし、箸などの調理器具を紹介し、同時に味噌汁やきんぴら、煮物や漬物などの伝統的な日本の調理法も伝えました。そしていつの間にか、流行の最先端をいくような世界中のヘルシーな店でも、健康的な日本の伝統食文化の多くが必須のアイテムとなっていったのです。そしてその結果、科学者や研究者たちが日本を訪れ、この国は世界と比べても慢性病の比率が最も少なく、長寿を誇る国であることに気付いたのです。このことで、欧米において日本の伝統食文化についての興味がかきたてられるようになり、その後数年にわたって、日本の食文化は世界中で最も広範囲に研究され、科学的な文書として記録されたもののひとつになりました。
現在では日本の伝統的食文化は、健康を促進し、環境と調和するという点で、世界中で高く評価され、注目をあびています。日本料理もますます高い評価を受けており、伝統的な日本食は、マクロビオティックの教育者達が予期した通り、その高い栄養価と、健康を促進する質の高さという点で推奨されることが多くなっています。そして2014 年には日本の伝統的な食文化と料理が、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)により「和食」として世界の無形文化遺産に登録されました。

久司道夫は食物に対する考え方の変化に重要な役割を果たしました。今では世界中の人々がマクロビオティックのモットー「We are What We Eat—私たちは私たちが食べるものである」を共有し、食べるものや食べ方が私たちに大きな影響を与えていることが知られるようになりました。
マクロビオティックは1977年の画期的なアメリカ政府の食事目標(現代の食習慣がアメリカの慢性病の増加の原因になっているとして、食習慣を変えることを呼びかけた)にも影響を与えました。
マクロビオティックは1980年代初頭のアメリカ政府の「食事ガイドピラミッド」の発展にも貢献し、ピラミッドでは食事に穀物、特に玄米などの全粒穀物や野菜、豆や豆製品、フルーツなどの植物性食品をもっと増やし、肉や乳製品などの動物性食品、砂糖が含まれた菓子や飲み物を減らすことが健康で栄養豊富な食事の基本だとしています。それ以来、世界の多くの政府機関が似たような食事ガイドラインを発表し、健康な食習慣を取り入れて生活習慣病を減らすように呼びかけています。日本政府も2005年に同様の「食事バランスガイド」を発表しています。
何年もかけて、植物性ベースの食事や健康的な伝統食習慣への関心は成長し、今では多数の研究がこういった食事がどれほど健康に大切かを証明しています。

現代の食習慣をより健全なものに導く以外に、久司道夫は個人や家族を健康にするためのサポートも行なっていました。世界中の多くの人が、健康問題からマクロビオティックに関心を持つようになりました。
多くの人が健康を回復するようになるにつれて、マクロビオティックは病気を自然に予防し、快方に導くものとして知られるようになりました。そして、病気を治癒した例の多くは医学的にも記録され、主要な新聞やその他の媒体、テレビやラジオ、そしてインターネットでも取り上げられるようになりました。1970 年代から1980 年代にかけて、ハーバード公衆衛生大学院やフラミンガム心臓研究所、ほかの機関で、マクロビオティックを実践している人たちに対する革新的な医学研究が行われました。ニューイングランド医学誌や米国医師会雑誌、そしてその他の主要な医学研究誌で発表されたように、このマクロビオティックの研究で初めて、高コレステロールや高血圧が心血管疾患を引き起こす主なリスク要因であり、バランスのとれた植物性中心の食事が心臓病、脳卒中、癌や糖尿病などを予防し、快方へ導くケースもあることが示されたのです。
マクロビオティックによるアプローチの仕方は、今や研究者や医学者により詳細に研究されるようになり、多くの専門機関でもその効果がさらに実証されており、このアプローチ法の基本的な点のいくつかは支持され、推薦されています。

もともと「代替医療」と呼ばれていたマクロビオティックは少しづつですが、一般社会にも広がっていきました。今では米国人のおよそ半数が実践していると推定される代替治療がさらに広まっていくにつれ、「補完医療」と呼ばれるようになっていきました。これは、食事やライフスタイルを調整するといったホリスティックな考え方(肉体だけでなく心や精神も含めて全体とみなす)が、現在の西洋医学の治療法を補っていくというものです。最近ではこれら2つの見方がさらに進化して、ホリスティックと現代医療が融合した「統合医療」という考え方にまで発展しています。1998 年に米国医学会(American Medical Association, AMA)が発表したように、米国の3分の2の医学部でホリスティック医療のコースが設けられています。そしてその中でもマクロビオティックは、若い医学生たちがよく知っておき、最初に学ぶべき療法のひとつであると位置づけられています。マクロビオティックの食べ方に加え、久司夫妻が欧米で紹介してきたたくさんのホリスティックな方法のなかには、指圧や鍼灸、パームヒーリング(患部に手を当てることによるヒーリング行為)、瞑想、ビジュアライゼイション(望むことをイメージして視覚化すること)、またストレスをコントロールするための簡単な方法などがあり、現在これらは医療機関や病院、町の医院、ケアハウス、刑務所、健康施設、その他公共の場所で広く実践されています。

1999 年米国政府は、公式にマクロビオティックの現代社会での功績を認め、ワシントンDC にある米国歴史博物館(National Museum of American History)のスミソニアン財団が、「久司道夫およびその家族のコレクション:マクロビオティックの歴史と代替ヘルスケア」の展示を始めました。スミソニアンの科学、医療、そして社会部門は、「米国人の生活や文化においてマクロビオティックは、戦後のより健康的な食生活への関心の高まり、よりグローバル化する文化、代替ヒーリング、平和研究や草の根活動といった幅広い分野の歴史的な問題と密接に関連があるという点で重要である」と説明しています。スミソニアンの歴史博物館では、マクロビオティックの食品や書籍、アベリーヌ久司の圧力鍋やすり鉢といったアイテムを永久展示品として展示しており、食事と健康に関するシンポジウムを定期的に開催したり、マクロビオティックの生活法が米国や世界にもたらした歴史的な貢献を高く評価しています。

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クシマクロビオティックの教育活動、社会活動の使命は、マクロビオティックの大きな観点を用いて、よりバランスのとれた、自然な生き方を実践することを教え、ガイドし、本来の個人の自由、健康と幸福に向かうように感化することです。クシマクロビオティックスクールもその国際的な役割を担っています。個人が自分を高めて自分自身をケアする方法を学ベば、次に家族をよりよくケアすることができ、人生の質を高める助けになります。さらにコミュニティに参加することでよりアクティブな役割を担い、その発展のための道を見出せます。やがて、個人の進化が、家族で助け合い、社会が繁栄し、世界の利益につながります。これはさらにより健全で、平和な世界を創造するという人類共通の夢の実現に向かいます。
これが久司道夫とアベリーヌの描いた「One Peaceful World-一つの平和な世界」です。個人と地球の幸福のためのクシマクロビオティックの活動には次の要素があります。

  • 主に植物性食物を中心に、全粒穀物や野菜、豆類、海藻、果物、必要に応じて動物性食品などを基本とした適切な食事法を通して、地球規模の健康を取り戻す。化学物質を使わない持続可能な農法や自然な食品加工法を広める。環境の配慮や個人のニーズにも合った、栄養面でもエネルギー面でもバランスがとれるような、適切な調理法を取り入れる。環境問題に対する関心を喚起し、エコロジカルなライフスタイルを提案する。クリーンで自然な環境を保全し、動植物の生命に敬意を持つ。自然の水を守り、汚染された水を浄化する自然な技術を確立する。バランスのとれたよりよい人生のために、心と身体、精神を高めるエクササイズなど、シンプルで実践的な方法を提案する。
  • 連綿と受け継がれてきた文化や人類の伝統、両親や祖先に対して敬意を表することにより、より調和のとれた地球規模での幸福を実現する。若い世代を愛しみ、大切にする。適切な生き方を通して穏やかで明晰な心を築く。すべての人類や生命を賞賛し、感謝する心を築いていく。
  • 意識を高め、生命への感謝を育てる、伝統的知恵と現代の情報、観察や体験のどちらも含んだ教育を勧める。 自分自身と生命、人類の意識の向上についてより深く理解する。自分について深く考え、反省し、生き方を改善する。私たちの共通の起源とこの星での宿命を思い出す。偏見や差別を克服し、すべての人類が兄弟姉妹であることを思い出す。暴力、犯罪、戦争に同意せず、人々と社会を理解し、調和と平安を実現する。

クシマクロビオティックで学ぶこと

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